学校のトイレ研究会研究誌25号
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──公立小中学校の学校施設のバリアフリー改修が急務となっています。理由について教えてください。髙草木 共生社会の実現に向け構築が学校で必要になってきています。障害者基本法、障害者差別解消法、障害者の権利に関する条約の批准といった社会の大きな流れの中で、年々バリアフリーへの認知が広まっていることも背景にあると考えられます。さらに、学校の施設自体は全体の約8割が老朽化している状態です。施設の改修・改築のタイミングとも重なって「いかにバリアフリーを取り入れていくのか」「インた*インクルーシブ教育システムのクルーシブな施設に更新していくか」と意識が高まっていると言えるでしょう。──一方で、バリアフリー推進に苦労されている自治体も多いように思われます。髙草木 多くの自治体で課題となるのが予算や財政面です。それに加えて、実際に工事をしようとした際に土地の問題や技術的な側面、法的な問題にぶつかる……。そんな話も耳にします。例えば、耐震工事を進めている  ていないところがあったりすると、中、他の箇所にも法的に満たしそれも一緒に考える必要があります。自治体としては、どこから手をつけたらいいのかと、進め方を悩まれるようです。学校トイレのバリアフリー化が加速髙たか草くさ木ぎ 伸さん*インクルーシブ教育システム=障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが共に学ぶ仕組みのことで、多様な人々が分け隔てなく暮らす社会を目指した教育方針。11⃝障害者関連法の成立や改正を経て、年々バリアフリーや*インクルーシブ教育への認知度が高まっている。⃝学校施設は約8割が老朽化。新築ばかりでなく、改修・改築時のバリアフリー導入が注目されている。⃝自治体には、予算やニーズを踏まえた「優先順位」づけが問われている。⃝避難所としての機能をはじめ、公共施設全般の中で学校が果たす役割を踏まえた計画づくりが求められている。⃝学校施設を資本として有効活用するためにも、バリアフリーを優先的に計画に盛り込むことが重要。POINT災害時の避難所としての機能はもちろん、地域開放時にも利用される学校トイレ。文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課の髙草木伸さんにバリアフリートイレ推進のポイントについて伺いました。文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課課長補佐(取材時)バリアフリー特集学校トイレのバリアフリー最前線!

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