学校のトイレ研究会研究誌25号
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2021年度全国公立小中学校教職員向けアンケート調査の結果、学校で改善が必要と思われる場所の第1位がトイレでした。空調や照明などの省エネ機器やパソコン・電子黒板を抑え、圧倒的に高い数字です。また、特筆すべきは、それとほぼ同等に廊下の手洗い場の改善が必要だと考えられていることです。コロナ禍で手指衛生の重要性が再認識されて、自動水栓による非接触化や薬用液体石けんの設置拡大が速やかに求められていることは言うまでもありません。また、2020年12月に、文部科学省から学校施設におけるバリアフリー化の加速に向けて整備目標が打ち出されましたが、同アンケート結果では7割が体育館に車いす使用者用トイレはないと答えており、今後の具体的な推進が急がれるところです。当研究誌では、さまざまな制約がある中でも、何とかしてバリアフリーや感染症対策、災害対策、さらには性的マイノリティ配慮を実現していこうとする取り組み事例をご紹介しています。この2月、1年間で市内19校の体育館トイレのバリアフリー改修を実現された埼玉県ふじみ野市を訪ねたときのことです。建築課の谷口副主幹のお話には、緻密な計画とともに「選挙の投票で来られたお年寄りにも気持ちよくトイレを使ってもらいたい」という日常視点からの優しいまなざしを感じることができました。臭い・汚い・暗いという負のイメージ改善から始まったトイレ改修。しかし、多様な使用者視点に立ち、優れたトイレ空間と廊下の手洗い場を実現できれば、それは逆に公衆衛生の核というプラスの存在となり、子どもたちと地域の新たな財産に生まれ変わるに違いありません。学校のトイレ研究会事務局長河村浩[はじめに]トイレ廊下の手洗い場6%省エネ型パソコン・高効率照明器具断熱ガラス・二重サッシ空調機への更新人感センサー照明電子黒板校舎の耐震化校内LANケーブル太陽光発電校庭の芝生化・屋上緑化デジタルテレビ断熱材の吹きつけ      2撮影:本間信彦「2021年度全国公立小中学校アンケート調査」より n=168・複数回答 *データの詳細は16ページの「最新全国自治体・公立小中学校アンケート調査報告」を参照ください。▶︎バリアフリー特集11 学校トイレの バリアフリー最前線!14 バリアフリー化のための 国庫補助制度について(施設助成課)15 文部科学省の自治体向け 支援事業(施設企画課)▶︎学校トイレアンケート調査16 最新全国自治体・公立小中学校 アンケート調査報告 定着してきた感染症対策  バリアフリー化加速の兆し8%8%14%11%19%20%15%35%25%21%CONTENTS▶︎学校トイレの最新現場事例 3 香春町立香春思永館(福岡県) 8 ふじみ野市立大井西中学校・駒西小学校(埼玉県)21 三重県立みえ夢学園高等学校・四日市高等学校(三重県)24 敦賀市立角鹿小中学校(福井県)27 香芝市立香芝東中学校(奈良県)学校で、児童・生徒のために施設改善が必要と思われる場所はどこですか?全国公立小中学校の教職員に聞きました61%62%学校で改善が必要と思われる場所の第1位は「トイレ」第2位は「廊下の手洗い場」

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