学校のトイレ研究会研究誌25号
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「今回改修を行ったら、次の改修は20年後になってしまうかもしれません」そう話すのは三重県教育委員会事務局学校経理・施設課の山下典博さん。20年後も快適に使えるトイレを目指し、みえ夢学園高等学校と四日市高等学校では耐久性・衛生性・快適性・省エネ性・メンテナンス性を考慮したトイレ改修が行われました。その一つの例として、トイレ内の大便器はすべて洋式化し、温水洗浄便座を採用しました。家庭内や商業施設では一般的になっている温水洗浄便座が、近い未来に学校でも当たり前になっている可能性を考えて、設置に至ったといいます。一部のトイレにのみ温水洗浄便座を採用すると、そのトイレが集中して使用される可能性があるということです。すべてが温水洗浄便座であれば、生徒はもちろん、学校を訪れるさまざまな人がどのトイレであっても快適に過ごせるというわけです。一時期は、洗浄機能のない暖房便座も候補に挙がったとのこと。しかし、機器の節水性の向上や節電機能などにより光熱水費は大幅に削減されることがわかり、温水洗浄便座に決定しました。三重県は今後、温水洗浄便座の設置を県内全域に広げていく計画です。みえ夢学園高等学校、四日市高等学校では男女別のトイレの他に、性の多様性に配慮した男女共用トイレを設けています。同校の男女共用トイレは、複数個の個室トイレ(みえ夢学園高等学校、四日市高等学校ともに5ブース)を1カ所に集約するという、先進的な事例です。男女共用トイレ内の個室の扉に      は、男女のマーク、車いす、オストメイトなどいろいろなサインが並べられ、「誰でも使用していい」というメッセージを発しています。性別などに関係なく、たくさんの人が利用しやすいようにという思いも込めて、「みんなのトイレ」と「未来の当たり前」を考えたトイレ温水洗浄便座をすべてのトイレに設置多様な価値観に配慮新しいトイレの形みえ夢学園高等学校の1階「みんなのトイレ」内にある男女共用個室型トイレ。少し広めに設計された個室内には、手洗器も設置されている。21学校トイレ事例03改修20年後も快適に三重県立みえ夢学園高等学校三重県立四日市高等学校

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