学校のトイレ研究会研究誌25号
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名づけられました。男女共用トイレの設備としては①個室内に手洗いがついたもの、 ②さらに車いす使用者も入ることができるもの、 ③オストメイト対応設備も備えたものと、バリエーションも豊富です。さまざまなトイレの選択肢があった方が、多くの生徒が利用する可能性が高まると考え、このような形になりました。ところが、オストメイト対応設備については、設置すべきかどうか、教育委員会内でも少し議論がありました。現在のバリアフリー法では、新築の際にオストメイト対応設備の設置は必須です。しかし、今回のような改修には当てはまらないことも背景にあったといいます。 「オストメイト配慮が必要になるのは成人以降が多いと聞いたこともあって。ですが、保護者の方など生徒以外の利用も考えられますし、さまざまな障がいに対応したトイレを整備することで少しでも使いやすいトイレにしたいと思い、導入を決めました」(山下さん) 改修前、最も損傷が激しかったのはトイレブース。それまでは湿式清掃であったため、どうしても下からの水分を吸ってしまい、トイレブースの角の部分がぼろぼろになってしまっていたそうです。そこで今回は、床の乾式化を決定。一方で、湿式を望む声もあったといいます。 「掃除指導に熱心な先生ほど、湿式清掃を望まれる傾向にあります。やはり、水で洗い流さないときれいにならない印象をお持ちのようです。けれども、床が濡れていると使いづらく、菌も繁殖しやすく、結果的に不衛生となるので、根気よく説明しました」(山下さん)清掃のしやすさを考慮し、壁材やトイレブースには、汚れを拭き取りやすいメラミン化粧板を採用しました。体が大きい生徒も困らないように、ブースの寸法にもこだわりました。設計事務所が作成した図面をもとに、スケールを用いながら教育委員会内で何度もシミュ生徒が長年にわたって使用することを考えた使用者のイメージを特定しないよう、サインは単色にまとめられている。2階女子トイレ。手洗いは水仕舞いがよい壁付タイプの自動水栓を採用。「みんなのトイレ」にはさまざまな広さや設備が備わった個室が設置されており、生徒は好きなトイレを選んで使用することができる。     「みんなのトイレ」入り口。個室数を増やすことで、誰もが使いやすいトイレを目指した。1階「みんなのトイレ」内には車いす使用者も快適に利用できるバリアフリートイレを設置。三重県ではコロナ禍の生理の貧困支援で、すべての学校に生理用品が備えられている。22

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