学校のトイレ研究会研究誌25号
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レに広めのスペースを取った大便器ブースを配置。杖をついていても出入りがしやすいよう引き戸にするなど、子どもたちの意見が設計に落とし込まれています。そして実際の施工の段階では、トイレの内装に使用されるモザイクタイル並べや、土壁用の土の採集といったワークショップも開催されました。 「今回、四つの学校が統合することに対し、子どもたちはもちろん、保護者の方など、不安をお持ちの方もいたと思います。ですが、そのような不安もワークショップを通じて『この学校で9年間学んでいくんだ』というワクワクに変えることができました」と小島義和教頭先生(取材時)。新しいトイレは学校を訪れる人にも好評といいます。 「トイレはどうしても『汚い』『暗い』などネガティブな場所になりがちです。ですが、子どもたち自身がトイレづくりに携わることができれば、愛着を持ちやすい空間になると思います」(久保さん) 「新しい学校づくりに携われるということ自体がなかなかない経験ですし、子どもたちにとってもいい思い出になったと感じています」(杉村さん)不安から一転新しい学校が楽しみにてづつモザイクタイルの施工ワークショップの様子。貼り板の大きさに合わせて、統合3小学校の全児童がモザイクタイルを並べた。(上)「敦賀赤レンガ倉庫」をモチーフにデザインされた3階高学年女子トイレ。アイランド式の手洗い場も、当時5・6年生の児童が提案。(右)2階中学年男子トイレのテーマは「敦賀港」。壁面に時計を設置したのは、ワークショップで挙がった意見から。2階中学年のトイレ入り口。トイレ内だけでなく、入り口にも手洗い場が設置されている。交流スペースとして、円形のベンチも。2階低学年トイレの入り口。トイレ前にはベンチが設けられ、子どもたちの交流の場や荷物置きとして機能している。2階低学年の女子トイレ。さまざまな利用者を想定し、手すりが設置されている。大便器は全学年とも暖房便座を採用。筒メディアセンター(左)中庭(上)天学校内では異なる学年間の交流を促進する工夫が随所に見られる。 トイレサインは敦賀という地名の由来とされている「都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)」の特徴の角部分をピクトグラムに取り入れた。25

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