学校のトイレ研究会研究誌25号
4/32

また、各階ごとに洗面台の鏡と手洗いの高さを変えるなど、子どもたちの成長に配慮した設計が行われています。学校内ではその他にも毎朝の通学時に、児童・生徒・教職員が出会う「ふれあいモール」や、教室・階段・トイレ前につくった「談話スペース」「展示コーナー」など、児童・生徒間のコミュニケーションが生まれる仕組みが随所に見られます。中庭を囲むように配置された教室は、学年が上がることに見える景色が少しずつ変わります。自身の成長を感じられるとともに、学校施設に飽きないよう設計されているのです。今回の学校再編に当たり、香春町立香春思永館では、すべての手洗い場に自動水栓を採用しています。ところが、設計当初は手動式の水栓金具を検討していたと香春町教育委員会教育課学校再編準備室(取材時)の椎しい葉ば隆博さんは話します。 「予算の兼ね合いで手動式の水栓金具にしていた経緯があったのですが、建設途中に新型コロナウイルスの問題が深刻化しました。『本当に必要なものは何か』と考えた結果、自動水栓に変更したのです」手洗いコーナーは、低学年の教室内にも設けられています。まだ幼い子どもたちが運動場から戻ってきた際や、給食前の手洗いなどを同じ教室内でスムーズにできるよう配慮しました。教室内で手洗いを行うことで先生の目も行き届きやすく、トイレ周辺の手洗い場の混雑緩和にもつながっています。 統合前の学校では、手動式の水栓金具にネット入りの固形石けんをつるす形で設置していました。しかし、感染症予防や非接触の観点から、新しい学校では水栓の自動化とともに、液体石けんを配置するようにしています。これまでは、放課後に学校の先生がすべての教室の入り口や水栓の消毒を行っていましたが、自動水栓を採用したことにより、その時間が大幅に短縮されました。オストメイト対応設備や、大型ベッドを備えたバリアフリートイレが設置されています。バリアフリートイレについては「すべての人にやさしい建物に」という思いから、設計当初から設置を計画していました。また、新し校舎棟の各階と体育館には、コロナ禍の影響を受けて自動水栓に仕様を変更バリアフリートイレの必要性を再認識1階北トイレ入り口。トイレ内は性別によるイメージにとらわれにくい水色(男子)、黄色(女子)でデザインしているが、入り口は視認性に配慮して明瞭な色使いに。原色を用いるのではなく、少し彩度を落とすことで落ち着いた印象に仕上げた。1階北女子トイレ。さまざまな利用者を想定して、ブース内には手すりを備えた。子どもたちの自主的な衛生習慣づくりのため、低学年教室には手洗いを設置。学校生活にまだ慣れていない低学年が使用する1階北男子トイレは、トイレ内を淡い色でまとめ、天井までつながる壁面など楽しい雰囲気を演出した。      4

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る