学校のトイレ研究会研究誌25号
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い学校を考えるに当たって保護者向けに開催されたワークショップでも、バリアフリートイレに対する要望があったといいます。 「ある保護者の方が、ご自身のお子さんがオストメイトに対応した設備が必要だとおっしゃっていました。もともと設置する想定でしたが、必要性を改めて感じましたね」(篠原さん)バリアフリートイレは温水洗浄便座を採用。学校ではこの他にも、災害時の避難所になることを想定し、体育館に更衣室やシャワー室も設置しています。シャワー室は、けがや嘔吐した際の利用を考慮して保健室にも備えられています。新規開校を機に、便器もすべて洋式化しました。しかし、統合前の学校のトイレがすべて和式であったため、当初は各トイレに 一つずつ、和式便器を残してほしいという要望があったといいます。 「先生からそのようなご要望はありました。一方で、家庭のトイレはほぼ100%洋式です。和式を残したところで、そのトイレが使われない可能性があると考えました」(椎葉さん)話し合いの結果、最終的にはすべて洋式便器を採用することになりました。学校が始まった現在、和式便器がないことに対する不満の声は一切ないといいます。また、和式便器の際に深刻だった、便器の外に付着した便や尿の汚れの問題もなくなり、現場からは「全洋式でよかった」という声が多いそうです。新校舎では、床が乾式シートになり、掃除の方法も変更しました。統合前は、バケツで水を流し、たわしでこすって掃除を行っていました。 「乾式化で、今はビニール手袋と、トイレに流せる使い捨ての掃除シートを使用して掃除を行っています。床も使い捨てのシートを用いて、雑巾を使用しないようにしました」そう話すのは、種た具ぐ朋一郎副校長。新しい掃除方法は簡単に行える上に、衛生的であることから、児童・生徒にも好評といいます。こうして生まれた香春町立香春思永館。今後は、「教育のまち香春」をPRする拠点としても展開していく予定です。 「コロナ禍による仕様変更など紆余曲折がありましたが、最終的には子どもたちにとって何が最適かを考え、町全体が同じ方向を向いたことで、いい学校ができたと思っています」(椎葉さん) 「これまでのトイレは汚いし、におう、いわば閉鎖的な空間でした。ですが、新しいトイレはきれいで明るく、子どもたち同士の交流も生まれるという、付加価値を持ったトイレになりました。長らく教員生活を続けていましたが、新しい発見でしたね」(種具副校長) ね     6洋式化により掃除がしやすくなった閉鎖的な空間から一転開放的な空間へ2階北女子トイレ。1階の低学年が使用する女子トイレと同様に黄色をアクセントカラーにしているが、モザイクタイルの種類を変更することで違いを表現している。2階南男子トイレ。座った状態でも操作が可能なリモコン便器洗浄ユニットを設置した。(上)2階南男子トイレ。小便器下の床には汚垂れ石を、手前の小便器には手すりを設置した。 (左)2階南バリアフリートイレ。バリアフリートイレは校舎棟の1・2・3階と体育館に設置されている。2階南男子トイレ。小便器は床の清掃性に優れた低リップタイプの壁掛自動洗浄小便器を採用。

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