学校のトイレ研究会研究誌26号
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今の時代の「当たり前」を学校にも標準でそろえたトイレ改修の第一号として時代に即したトイレに大変身2023年に開校150年を迎えた田上小学校は、1873年に前身の学校が創立された歴史のある小学校です。一方、校舎は築38年が経過し、老朽化が目立っていました。中でも、トイレの劣化は顕著であったといいます。 「私は、地域の方から直接電話を受ける立場にいるのですが、学校へ通う児童の保護者から一番多かった意見が『トイレをきれいにしてほしい』というものでした」そう話すのは、大津市教育委員会教育総務課の清水貴光さん。要望を受け、大津市内の学校現場を回ったところ、トイレの臭い、汚れ、便器やその他の器具の破損など、早期改善が必要だったのが、田上小学校でした。大津市は現在、長寿命化改良事業として、学校施設の改修工事を進めています。調査結果を受けて、田上小学校のように、トイレの老朽化が進行している学校てくる前に、トイレの整備を先行して行うことを決定しました。トイレを新しくするに当たり、大津市は、①便器の全面洋式化、②床の乾式化、③温水洗浄便座の導入、④トイレ内の手洗いの自動水栓化、⑤小便器の自動洗浄化を決定。併せて、給排水設備も更新しました。 「内閣府の調査によると、二人世帯以上の家庭の80%が、温水洗浄便座を保有しているそうです。家庭で一般的になっているものを、学校の中にも採用していこうと考えています」(清水さん)こうして、市内の小・中学校校のトイレは生まれ変わりました。大津市では今後、これらを標準仕様として、市内全域のトイレ改修を進めていく予定です。西村喜雄校長先生は「入学したての児童の中には、ハンドル式の水栓に向かって手を出したまま、動かない子どももいるのですよ」と語ります。 「温水洗浄便座だけでなく、自動水栓に慣れた子どもも増えまたな     かみ棟2階東男子トイレ。トイには自動水栓と水石け供給栓を設置。手洗い高さは、低学年を低めにるなど配慮した。       55校の第一号として、田上小学学校トイレ事例03改修滋賀県大津市大津市立田上小学校

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