学校のトイレ研究会研究誌26号
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[ごあいさつ]このたび、学校のトイレ研究会事務局長に就任しました冨岡です。新体制となり、1996年の設立から培ってきた研究成果や知見を継承しつつ、新たな視点からの価値創造にも取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。学校は長年にわたり、老朽化や災害対策、感染対策など、次々と新たな施設整備が求められてきました。その中で、昨年実施した全国自治体アンケート調査では、「学校で改善が必要な場所」の1位が「トイレ」で、7年前から5ポイント上回る結果となり、改善は進められているものの、老朽化のスピードに追いついていない実態が続いていることが浮き彫りとなりました。現在、文部科学省では、校舎や屋内運動場のバリアフリー化の加速や、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進が掲げられ、子どもたちや地域の方が利用されるトイレにおいても、多様性を尊重し、安心安全に利用できる環境が求められています。そこで今号では、「ダイバーシティ」をテーマに多様な利用者のニーズに対応できる学校トイレのあり方を考察するため、調査結果や取り組み事例、アイデアプランを紹介しています。性別、年齢、障がいの有無にかかわらず、すべての人が不自由なく利用できるトイレ空間の実現は容易ではありません。しかし、多様な利用者の特性を理解して包含し、将来的なことも見据えて柔軟に対応できる仕掛けをプラスしていくことは、今後の学校トイレ整備に欠かせない要素になると考えます。学校のトイレ研究会はこれからも、学校現場に関わる方の声を丁寧に紡ぎながら、参加企業で連携して活動を進化させてまいります。皆様方には今後ともより一層のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。学校のトイレ研究会事務局長冨岡千花子       トイレ高効率照明器具外壁教室断熱改修断熱ガラス・二重サッシ省エネ型空調機への更新廊下の手洗い場校舎の耐震化パソコン・タブレット・電子黒板人感センサー照明校舎LANケーブル「2022年度全国自治体アンケート調査」より n=103(複数回答) *データの詳細は12ページの「最新全国自治体アンケート調査報告2022」を参照ください。 ▶︎トイレのダイバーシティ& バリアフリー 7 トイレの多様化を考える   ~学校トイレに求められるものとは?~15 枚方市の学校トイレ整備への  取り組み27 学校トイレ アイデアプラン▶︎学校トイレアンケート調査12 最新全国自治体アンケート   調査報告2022  バリアフリー対策に加え、  多様化する学校トイレ▶︎トイレ清掃20 乾式トイレの清掃方法を見直そう!14%12%12%21%20%17%29%27%24%53%45%CONTENTS▶︎学校トイレの最新現場事例 3 金沢市立犀桜小学校(石川県) 8 嘉麻市立稲築東義務教育学校(福岡県)16 大津市立田上小学校(滋賀県)18 大口北防災センター(愛知県)23 笠松町立笠松中学校(岐阜県)学校で児童・生徒のために施設改善が必要だと思われる場所は?全国自治体の教育関係者に聞きました78%学校の施設改善が必要な場所は変わらず「トイレ」がトップ

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