学校のトイレ研究会研究誌26号
3/32

大きさ、場所……いろんな形のトイレを用意「恥ずかしいことじゃない」トイレから発信する多様性集中型と分散型のトイレで多様性に配慮  「『わぁ、きれい!』子どもたちが新校舎に初めて登校した日、トイレの前ではしゃぐ様子を見て、こちらもうれしくなりました」そう話すのは、犀桜小学校の前田みどり教頭先生です。2022年3月、新竪町小学校と菊川町小学校を統合した、犀桜小学校の新校舎が完成しました。二つの学校が合併したのは、金沢市内、特に中心部の児童数が減少していたことが大きな要因です。新竪町小学校に関しては、学級が全体で6クラスにまで縮小してしまっていたといいます。学校の規模が小さくなると、多様な考え方に触れる機会が減り、人間関係も固定化してしまう恐れがあります。金沢市は、これらの問題を解消するため、統合という決断に至りました。インクルーシブ教育の一環として、新しい学校では普通教室の他、1階に通級教室、2・3階には特別支援教室が設けられています。さらに、支援を要する子どもたちが、できるだけ自力で近くのトイレを利用できるよう、各階にバリアフリートイレを設置しました。バリアフリートイレには、オストメイトに対応した設備も備えています。金沢市教育委員会教育総務課(取材時)の杉下裕治さんは「年齢や性別、身体の状況などが制約になったり、トイレを心理的な負担に感じたりしないようにしなければなりません」と言います。犀桜小学校では、ダイバーシティの観点から、年齢や性別、身体の状況などにかかわらず、誰もがアクセスしやすく、安心して過ごせるトイレ空間を目指しています。トイレの配置についても、男女         1カ所に集めた集中型の他、男別トイレとバリアフリートイレを女別トイレを普通教室の端と端に設置した分散型が同じフロアに存在します。学校内でなるべくさい     おう分散型男子トイレ。さまざまな利用者対応できるよう、広スペースの個室を保した。学校トイレ事例01新築石川県金沢市金沢市立犀桜小学校

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る