学校のトイレ研究会研究誌26号
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排せつをしたくないという児童が、せめて好きなトイレを選べるようにという思いから、このような設計になりました。今回、設計を担当した⼤屋設計の杉宮一暢さんは語ります。 「排せつしたくないといった考えも『恥ずかしいものではないよ』と伝えてあげられるような、トイレ計画が⼤切だと考えています」バリアフリートイレの他、分散   た子どもも使えるようにと設置型の男女別トイレには、一般的な広さの⼤便器ブースだけでなく、かなりゆったりとスペースを取った個室トイレも用意しています。支援が必要な児童はもちろん、けがをして松葉杖を使うことになっしました。ブース内には、手すりも設けられています。 「いつ、どういった個性を持つ子どもが、何人入学してくるのかわかりません。多様なトイレがあれば、対応もしやすくなります」(杉下さん)犀桜小学校のトイレは、清掃性や衛生面を考慮して、100%洋式化を実現しました。家庭でも一般的になっていることから、⼤便器はすべて温水洗浄便座つきです。さらに、トイレ内の手洗いには自動水栓を採用。杉宮さんは「今や自動水栓はトイレのスタンダードだ」と言います。 「トイレに苦労するのは、性的マイノリティの児童だけではありません。中には、手洗いのハンドルに触れるのが嫌な子もいます」(杉宮さん)非接触や感染症対策の観点からも、学校内のすべてのトイレにアルコール消毒液と液体石けんを配置しています。犀桜小学校のトイレには、いろんな性格・性質3階分散型男子トイレ内、入り口付近の掃除用流し。男女別トイレ、バリアフリートイレ共に、木目調で統一感のあるデザインに仕上げた。3階分散型男子トイレ。小便器は床の清掃性に優れた低リップタイプの壁掛自動洗浄小便器。(左上)男子トイレのサイン。(右上)女子トイレのサイン。(左)学校の校章。犀桜小学校の学校名にも含まれている「桜」をモチーフにデザイン。桜のモチーフは、エレベーターホールのサインなど、いろいろなところにあしらわれている。3階オープンスペース。中央の柱には、県産材の木が活用されている。3階分散型女子トイレ内広め個室。けがをしたときを想定し、手すりを設けた。校舎の至るところにガラス張りの窓を設置し、光をたくさん取り込む工夫をしている。

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