学校のトイレ研究会研究誌27号
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内 側外 側1階みんなのトイレみんなのトイレは、女子トイレ側に設置されているが、扉に大きくサインが描かれ、一目で利用対象者がわかるようになっている。学校のトイレ 事例詳細情報はこちら学校のトイレ 事例検索11校舎の1階から4階までを対象にしています。避難所となることに備え、校舎の1階に外から入れるトイレを設置しました。みんなのトイレもこのフロアにあり、運動会などのイベントや、校庭開放などでの地域住民の利用が想定されています。外からも出入りが可能なため、防犯対策として校舎廊下側の入り口にシャッターを設置し、外部と隔離できる設計になっています。藤沢市計画建築部・公共建築課(取材時)の奥村梨絵さんは、「学校からの要望は、施設課と共有しています。特にトイレの外部からの動線と防犯対策については、事前に打ち合わせをしたうえで設計しています」と説明してくれました。「藤沢市としては、いずれ全校に“みんなのトイレ” を設置するという方針で改修計画を進めています。各階への設置を基本とし、改修等でスペースを確保することが難しい場合は男女トイレ1か所ごとに1室は広めの個室トイレを設置することにしています。また、さまざまな利用者を想定して、オストメイトへの対応も同時に行っています。現在、小糸小学校には特別支援学級はありませんが、どのような状況の子どもが入学してきても安心して学校生活を送れるように、事前に必要な配慮を確認して修繕するなど、臨機応変に対応しています」と、木下尊人さんが語ってくれました。1階の男子トイレ(写真左)と女子トイレ(写真右)洗面コーナーのモザイクタイル。明るくカラフルなカラーを基調とした可愛らしいデザイン黄色のスクエア型洗面ボウル。トイレ内がより明るく感じられる。水栓はセンサー式の自動水栓が設置されている。ブース内で人が転倒した場合など、非常時には扉を外開きに変更できる仕様。上) 2階 下)3・4階 広めの個室トイレさまざまな利用者を想定して、男女それぞれに広めの個室が設置されている。男子トイレ床は湿式から乾式に変更。防汚性ビニルシートを採用した。汚れが集中する小便器のまわりには、汚れをつきにくくする汚垂れ石を採用。学校施設整備の方針と取り組み藤沢市では昭和50年代の人口急増期に、多くの学校が設置された状況があり、築後40~50年ほど経過した学校施設の適切な維持・管理を行うことが課題になっています。藤沢市教育委員会・学校施設課の木下尊人さんは、「施設の再整備計画については、どの自治体も同じような課題を抱えているのではないでしょうか。建物の状態によっては建て替えも検討しますが、基本的には段階的な改修を行いながら建て替えと同等の教育環境を確保することを目指しています」と語ってくれました。実施計画は、既存施設の適正な管理・運営に関わる整備について直近5年間の計画を立案し、外壁やプールの補修、トイレ、エアコンの設置、グラウンド改修などを計画的に進めるというものです。その中で、築年数を早期改修着手の目安としながら、学校ごとの状況を調査し、学校側の意見を聞くことも大切です。これらを整理・分析したうえで、長寿命化に向けた施設再整備方針を策定し、実施されています。外部からもアクセスできる「みんなのトイレ」今回の小糸小学校のトイレ改修工事は、北

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