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■各種媒体の記事掲載
※2007.10.1 日本教育10月号(社団法人 日本教育会発行)巻頭随想
トイレから変わる学校と地域
髙嶋弘明(学校のトイレ研究会元事務局長)

 公立学校は子どもたちの教育の場から一日の大半を過ごす生活の場、さらに生涯学習や災害時の避難所など、地域の教育・文化・情報交流拠点として、多様な役割を担う時代になってきた。言わば、まちづくりの中核をなす公共施設と言える。その中でトイレは校舎の老朽化や、清掃・維持管理の不備などで、子どもたちから5K(汚い・臭い・暗い・怖い・壊れている)と嫌われ、学校で排便を我慢する子どもたちの健康が危惧されていた。
 1996年、新聞で学校トイレの酷さが報道された。子どもたちにとって、清潔で使いやすく快適なトイレの実現を目指して、トイレ機器や建材、メンテナンスなどの企業を募り「学校のトイレ研究会」を同年設立した。
 これまでに調査・研究や冊子の発行、講演など、さまざまな啓発活動を行うと共に、100校ほどの学校を見てきた。そこでは、いじめや器物の損壊、不登校などの、深刻な問題に苦慮する教育委員会や教職員たちの姿を垣間見てきた。学校が抱える問題は、問題を起している子どもたちや、父兄たちとの信頼関係なくして根本的な解決は困難ではなかろうか。
 昨今、教育や学校のさまざまな問題が指摘されているが、子どもたちと取り組むトイレづくりは学校を活性化する。それは、清潔で快適なトイレは誰もが望むものであり、また誰もが参加して議論できるテーマは、コミュニケーションを通じてお互いを認め合い、信頼関係を醸成させるからだ。
 従来、公立学校のトイレ改修は、一般に建築後二十年以上経過した校舎の大規模改修時に行っていた。2001年度から、トイレ改修工事が建築年数に係わらずに国庫補助の対象になった。この制度により全国的に公立学校のトイレ改修が促進されるようになった。
 学校のトイレ研究会は一連の啓発活動の中で、学校トイレの改修計画段階から、子どもたちと一緒に取り組む「参加型トイレづくり」を提唱してきた。また、参加型トイレづくりにより、教育効果をあげている学校の活動を取材した冊子を毎年発行している。
 取材校では、単にトイレの改善にとどまらず、子どもたちは体験を通して、さまざまなことを学び、学習効果をあげている。
 それは、多くの子どもたちが学校で日常困っていることの改善を皆で行うことは、楽しさや興味をそそり、意欲を持って取り組むからである。つまり、自分たちが使っている学校トイレの観察を通して、いろいろな問題を発見することができ、環境や健康、福祉や地域などの身近な社会や生活への関心がわく。
 また大人の指導によるワークショップでの完成をイメージした学習は、子どもたちに主体性や創造性、協調性を培う。最後に完成の喜びを分かち合い、感動を共感することで物を大切にする心や感謝の気持ちも芽生えてくる。
 このように、「参加型トイレづくり」は、身近にできる学校再生の有効な手段と確信する所以である。清潔で快適なトイレがある学校に地域の人々も集い支え合い、学校から地域が良くなっていくことを願ってやまない。


 



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