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トイレと教育
優れた空間設備と清掃メンテナンス体制を整備しても、それだけでは限界があります。3つ目の「教育」がうまく連動した時、学校トイレは確実に子どもたちと地域の財産に生まれ変わります。
参加型トイレづくり
児童・生徒がトイレづくりに参加した例を見ると、アンケートで要望を集約したり、内装カラーを投票で決めたりと内容はさまざまです。中にはレイアウトまですべて子どもたちが作成したプランを採用した学校もあります。
児童・生徒が自ら低学年の声を集めて高さの低い洗面カウンターを提案したり、自分の意見を主張しつつ人の意見を尊重する姿に、高い教育効果を感じたとの報告もあります。トイレは誰もが共通して議論できるテーマ。参加型トイレづくりで共通して見られる効果は、そのトイレが大切に使われることです。
例:近江八幡市立八幡東中学校
第1回ワークショップ開催
「トイレの歴史を学ぶ」
第2回ワークショップ開催
「アンケートの実施」
第4回ワークショップ開催
トイレに必要なものを協議
内装材や生徒作成の案内表示案に
投票
生徒がヘルメットをかぶり、
工事現場の見学
トイレ
完成!
トイレ前のスペースの大きなベンチは
コミュニケーションの場
例:敦賀市立角鹿小中学校
トイレワークショップの様子
学校のトイレを考えよう!
左官体験ワークショップの様子
モザイクタイルワークショップの様子
トイレ
完成!
トイレを核とした教育
身近なトイレから学びを
毎日使うトイレには、子どもたちにとってさまざまな学びの素材があります。トイレを学びにつなげることで、子どもたちに新たな気づきを与え、学校生活が豊かになるとともに、ESD(持続可能な開発のための教育)の推進やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に不可欠な質の高い教育の実現に繋がります。
香芝市立香芝東中学校では、
SDGs学習の一環で、トイレを題材に調査レポートを作成
2022年研究誌より
心と健康
用を足すことは恥ずかしいこと、汚いことという誤解を真っ向から解いていくこと、私たちの体の仕組みや排せつの大切さを伝えていくことは、食育と同様に不可欠です。そして、衛生性を科学的に理解して、洗浄ボタンや便座などに触れることについては必要以上に神経質にならず、うがいや手洗いの重要性をしっかり認識していくことは、極めて実践的な保健の学習です。
トイレを起点とした地球環境
もしトイレがなかったら予想される水環境の汚染や伝染病の発生、下水処理場の仕組みから、土や川の浄化作用、地球環境の循環にまで広げられる理科の学習でもトイレが教材となります。
豊田市立土橋小学校では、水や電気を使い、生活に密着したトイレの改修を環境教育に連動させました。大学および設計事務所と協力してカードゲームを作成し、地球環境の大切さを学びました。
土橋小学校の改修後トイレ
カードゲーム
エコ教室風景2013年研究誌より
ユニバーサルデザインと社会
「もし、足にケガをしたお友達が学校に来て、職員室とトイレに行くとしたら何がしてあげられる?」の課題に、低学年の児童は「手をつないで歩いてあげる。」と答えました。高学年の児童はトイレのユニバーサルデザインについて学習し、手すりの設置やオストメイトへの配慮をレポートにまとめました。
神戸市立池田小学校のこの冊子は、その後も後輩たちに読み継がれています。
2006年研究誌より