事例紹介
改修
大津市立田上タナカミ小学校
(滋賀県大津市)
トイレ改修の第一号として時代に即したトイレに大変身
今の時代の「当たり前」を学校にも標準でそろえた
2023年に開校150年を迎えた田上小学校は、1873年に前身の学校が創立された歴史のある小学校です。
一方、校舎は築38年が経過し、老朽化が目立っていました。中でも、トイレの劣化は顕著であったといいます。「私は、地域の方から直接電話を受ける立場にいるのですが、学校へ通う児童の保護者から一番多かった意見が『トイレをきれいにしてほしい』というものでした」
そう話すのは、大津市教育委員会教育総務課の清水貴光さん。要望を受け、大津市内の学校現場を回ったところ、トイレの臭い、汚れ、便器やその他の器具の破損など、早期改善が必要だったのが、田上小学校でした。
大津市は現在、長寿命化改良事業として、学校施設の改修工事を進めています。調査結果を受けて、田上小学校のように、トイレの老朽化が進行している学校については、改良事業の順番が回ってくる前に、トイレの整備を先行して行うことを決定しました。トイレを新しくするに当たり、大津市は、①便器の全面洋式化、②床の乾式化、③温水洗浄便座の導入、④トイレ内の手洗いの自動水栓化、⑤小便器の自動洗浄化を決定。併せて、給排水設備も更新しました。「内閣府の調査によると、二人世帯以上の家庭の80%が、温水洗浄便座を保有しているそうです。家庭で一般的になっているものを、学校の中にも採用していこうと考えています」(清水さん)
こうして、市内の小・中学校55校の第一号として、田上小学校のトイレは生まれ変わりました。大津市では今後、これらを標準仕様として、市内全域のトイレ改修を進めていく予定です。
西村喜雄校長先生は「入学したての児童の中には、ハンドル式の水栓に向かって手を出したまま、動かない子どももいるのですよ」と語ります。「温水洗浄便座だけでなく、自動水栓に慣れた子どもも増えました。けがをしたときや、手に力が入りにくい子どものためにも、自動で水が出るのはいいですね」
改修前のトイレの手洗いは、経年劣化により、きちんと栓が閉まらないなどのトラブルもありました。自動水栓は、感染症対策の面でも、節水の観点からも好評です。
さらに、田上小学校のトイレには、車いす使用者など、幅広い利用を想定した広めの大便器ブースも設置しました。すべての個室に、手すりも備えられています。
新しくなったトイレについて、学校が児童にアンケートを取りました。そこには「きれい」「明るい」「トイレで友達とお話しするのが楽しい」など、喜びの声があふれていました。
大津市立田上小学校 DATA
名 称 | : | 大津市立田上小学校 |
---|---|---|
所在地 | : | 滋賀県大津市里5-8-1 |
児童数 | : | 337名(2023年4月) |
施 主 | : | 大津市 |
設計・監理 | : | 三和総合設計 |
施 工 | : | 関西設備工業 |
竣工年月 | : | 2023年1月 |