事例紹介
改修
大口北オオグチキタ防災センター
(愛知県丹羽郡大口町)
体育館を地域の防災拠点に
改修避難所ならではの工夫が随所に
子ども用のトイレから誰もが使えるトイレに
2022年、愛知県丹羽郡大口町の旧大口北小学校の体育館が、新たな防災拠点「大口北防災センター」として生まれ変わりました。一般的に、避難所の多くは、地震や洪水、大規模火災などが発生した際に、市町村の職員がその場に駆けつけ、鍵を開けるなどして避難所を開設します。しかし、その流れでは、実際に避難所が立ち上がるまで、どうしても時間を要してしまいます。
そこで、大口北防災センターでは、災害が起きたときに備えて、地域の人々が施設の鍵を持ち、解錠することで、避難所開設までの時間を大幅に短縮することを目指しました。現在は「大口町北地域自治組織」の方々が運営を行っています。通常時の施設は、運動教室が開催されるなど、地域開放の場として利用されています。
小学校の体育館を防災センターへ改修するに当たり、トイレ整備も実施されました。これまで、主な利用者は子どもだったことから、一つひとつの大便器ブースは大人が使用するには狭かったといいます。床は湿式、便器は和式でした。「防災施設なので、新たにバリアフリートイレを設置しました。施設のそばには、公衆トイレもあります。避難の際はそちらも使えることを加味し、便器の数を減らして、個室をゆったりと取りました」そう話すのは、大口町地域協働部町民安全課の稲葉悠斗さんです。
バリアフリートイレには、オストメイトに配慮した設備や、ベビーシート、ベビーチェアを備えています。男女別トイレの個室の一つには、子どもと一緒に入ったり、着替えをさせたりすることを想定して、ベビーチェアとフィッティングボードも設置しました。
今回の改修で、床を乾式化し、便器も洋式に変更しました。手洗いは、自動水栓です。防災センターという観点から、トイレの床も男女で色を変え、視認性を高めています。施設内には、災害時の利用に備えて、更衣室も用意しました。屋外には、マンホールトイレも準備されています。
トイレ以外にも、救急車が来た際に、車を横づけで停められる救護室や、感染症が発生した際に、館内をビニールカーテンで区切れる装備や防犯カメラが設計されています。旧大口北小学校の面影を残すためにも、体育館のステージは取り壊さず、携帯トイレやマスク、消毒液などの備蓄倉庫として活用しています。
大口町北地域自治組織で会長を務める藤田金生さんは語ります。「運営が始まって、まだ1年目です。地域の方にとって、どのような施設が利用しやすいのか、防災について、どう啓発していくのがよいのか、今後も検討していきたいと思います」
大口北防災センター DATA
名 称 | : | 大口北防災センター |
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所在地 | : | 愛知県丹羽郡大口町城屋敷1-308 |
施 主 | : | 大口町 |
設計・監理 | : | 斉木建築事務所 |
施 工 | : | 松岡建設 大口営業所 |
竣工年月 | : | 2022年3月 |